建物の室内で物を落としたり、人が動くことで床が直接振動することによって下階に伝わる音のことを「床衝撃音」と言います。
床衝撃音は建物の構造や床仕上材の種類などによって伝わり方が異なります。
音の特性の違いから「重量床衝撃音」と「軽量床衝撃音」に分けることができます。
遮音等級は「L値」で表し、数値が小さいほど性能は高く、衝撃音が伝わりにくい事を示しています。
子どもが飛び跳ねたり、椅子を動かしたときなどに、「ドスン」「ガタン」と大きく下の階に伝わる鈍くて低い音を言います。
床の材質が固くて重いほど遮音性能は高くなり、マンションでは床のコンクリートスラブの厚みに比例します。
(梁で囲まれたスラブ面積の広さも関係します)
遮音等級は「LH-45」「LH-50」という形で表わします。
(Hは「Heavy-Weight」を意味する)
床の条件 | 重量床衝撃音遮断性能 | |
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良い ← → 悪い | ||
密度 | 大きい | 小さい |
厚み | 厚い | 薄い |
床の剛性 | 強い | 弱い |
ヤング率 | 大きい | 小さい |
圧縮強度 | 大きい | 小さい |
スパン | 小さい | 大きい |
小梁の有無 | 有 | 無 |
天井有無(天井懐が30cm以下)密度 | 無 | 有 |
表面材の柔らかさ | ほとんど関係ない |
スプーンなどを床に落として「コツン」といったり、スリッパで歩いて「パタパタ」するように、比較的軽めで高音域の音を言います。
軽量床衝撃音(LL)の遮音性能は床の構造や表面仕上げによって変わります。
構造は直床よりも二重床、仕上げ材はフローリングや石貼りよりもカーペットや畳のように吸音性が高いものほど性能は高くなります。
遮音等級は「LL-45」「LL-50」という形で表し、数値が少ないほうが遮音性能は高いことを示します。
(Lは「Light-Weight」を意味する)
また、重量床衝撃音とは異なり、スラブ面積や支持されている条件の影響は少ないです。
遮音等級 | L-40 | L-45 | L-50 |
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人の走り回り、飛び跳ねなど | かすかに聞こえるが、遠くから聞こえる感じ | 聞こえるが、意識することはあまりない | 小さく聞こえる |
椅子の移動音、物の落下音など | ほとんど聞こえない | 小さく聞こえる | 聞こえる |
生活実感、プライバシーの確保 | ・上階で物音がかすかにする程度 ・気配は感じるが気にならない |
・上階の生活が多少意識される状態 ・スプーンを落とすとかすかに聞こえる ・大きな動きが分かる |
・上階の生活状況が意識される ・椅子を引きずる音は聞こえる ・歩行などが分かる |
床衝撃音は、JISA1419で規定されている標準衝撃源(重量床衝撃音:バングマシン、軽量床衝撃音:タッピングマシン)を用いて上階床に衝撃を加えた時に下階居室で発生する音を1オクターブバンドごとに測定し、図に示されるL曲線をあてはめ、最大のL値によって遮音等級を決定します。
建築物 | 室用途 | 部位 | 衝撃音 | 適用等級 | |||
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特級 | 1級 | 2級 | 3級 | ||||
集合住宅 | 居室 | 隣戸間界床 | 重量衝撃源 | L-45 | L-50 | L-55 | L-60、L-65 |
軽量衝撃源 | L-40 | L-45 | L-55 | L-60 | |||
ホテル | 客室 | 客室間界床 | 重量衝撃源 | L-45 | L-50 | L-55 | L-60 |
軽量衝撃源 | L-40 | L-45 | L-50 | L-55 | |||
学校 | 教室 | 教室間界床 | 重量衝撃源 | L-50 | L-55 | L-60 | L-65 |
軽量衝撃源 |